エンスーとは、enthusiast(エンスージアスト)を縮めた和製英語。「マニア」、「熱狂的な支持者」といった意味を持つ。
古代ギリシア
ギリシア語enthousiasmosが語源。エンスージアストの元となった語、エンスージアズム(Enthusiasm)は古来、「霊感(インスピレーション)、(霊などに)とりつかれること」を意味し、エンスージアストは「霊にとりつかれた人」を意味した。
アポロンがピュティアに、ディオニュソスがマイナス(Maenads:ディオニソスのグルーピーの女達)にしたように、古代ギリシア人にとっては霊がとりついて出現すること(マニフェステーション)がエンスージアズムであった。
エンスージアズムは他に、「意識の転送」も意味した。ソクラテスは「詩人のインスピレーションとはエンスージアムの一形態である」といっている。神の意識が転送されてインスピレーションをうけることもエンスージアムであった。
エンスージアズムが使用される文脈は、宗教的な意味をもっており、宗教的な霊感や宗教的な熱狂状態に限られていた。
英語
英語での汎用辞書として最初に編纂されたジョンソン辞典(Johnson's Dictionary)ではエンスージアズムを、「ある個人に起こった天啓、神の啓示を思い込みすぎること」と記されている。
現代の用法
英語
今日、英語では単に、「熱心に楽しむこと、熱心に興味をもつこと、積極的な肯定」を意味している。
現代では、宗教的意味はなくなり、心から献身的に理想、主義主張、研究、探求することを意味する。用語自体は中立であり、尊敬も蔑視の意味もそこにはなく、それは使用する文脈や使用する人によって変わる。つまり、ある人は尊敬の意味だけ、ある人は蔑視だけの意味に使うことがある。蔑視的な使い方の場合、過度に偏向していたり、異議を認めない姿勢に対しての批判であることが多い。
日本
「エンスー」という短縮形は、イラストレーター、エッセイストの渡辺和博が自動車雑誌のなかで、「ある自動車に対する熱烈なマニア」の意で使ったのが初めとされる。この由来から、特に自動車やオートバイの熱心な愛好家を指して用いられることが多い。肯定的積極的な意味では尊敬の念を込めて使用される一方、からかいの意を込めて蔑視的に用いられることがある。
自作パソコンの分野では単に熱狂的ユーザのことを示して「エンスー層ユーザの支持がある」「エンスー向けCPU」等のように用いる。こちらでは悪い意味に用いられることは少ない。2000年代に入りPCの低価格化が進み、5万~10万円程度で十分な性能を持つPCが購入できるようになった一方、はじめからエンスー層のみをターゲットに製造出荷されている特に高価なCPU、メモリやビデオカードなど、またデザイナー等DTPのプロのために設計された業務用製品のようなハイエンドパーツを新製品が出るごとに買い求めるユーザも存在する。これらの価格は単体で前述の完成品のPCを遥かに上回ることも多い。
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肯定的立場と否定的(蔑視的)立場
語り手の立場と評価する対象がどの程度離れているかによって偏向の程度が決定されるため使用時には話者と文脈に大きく左右される。エンスー自体はあくまでも中立の意味であるが、以下のような立場でとらえた上での使用もなされている。
積極的立場からの定義
本来の「エンスージアスト」は頭でっかちな「マニア」や「オタク」とは異なり常識も持ち合わせており、さらに、知識に耽るだけでなく自ら汚れをかぶり、「血」や「汗」や「涙」を流す人たちであるため、同趣味の仲間内のみならず、一般人からも尊敬されたりする。
蔑視的立場からの定義
「エンスーとは、「熱心家」、「熱狂者」といった意味を持つenthusiast(エンスージアスト)を揶揄した言葉」という立場からは、以下のような例があげられている。
自動車エンスーに対して
単に「ベンツ」と言わずに「メルツェデス」といったり、「ジャガー」を「ジャギュア」、「レンジローバー」を「レインジローヴァー」と(原語・綴りに厳格なまでに忠実なつもりで)言うなど、対象物に対する思い入れが強いのが特徴。あまり一般的でない言い回しも好んでする(キャンプをキャムプ、コンパクトストーブをコムパクトストウヴ、オートバイをモーターサイクル等)ケースもあり、これが否定的(蔑視的)な見方をされる一因でもある。
自動車を愛好するあまり、レストア、メンテナンス、チューニングを自らの手で行う事に喜びを感じる。オイル交換は言うに及ばず、ライトのバルブ交換、ロールバーなどパーツの自作、果ては自動車パーツの個人輸入なども行う。またディーラーだけでなく、チューニングショップにも知己がいるケースが多い。
銃器雑誌で
マガジン(弾倉)を「マガズィン」、トリガー(引鉄)を「トゥリガー」、レールを「レイル」、ゲームを「ゲイム」と表記する(但しサバイバルゲームを“サヴァイヴァル―”、ハンマー(撃鉄)を“ハマー”とはしない)など同様の傾向のあるライターの存在が知られている。