ブラジャー(仏語: soutien-gorge, 英語:brassiere)は第二次性徴期以降の女性が胸部に着用する下着で、乳房を支えることが基本目的である。また補正下着としても使用され、この場合、バストの形状を整形すると共に、形が崩れることを防ぐ目的がある。日本の場合サイズはJIS L4006に規定されている。
ブラジャーはファウンデーションの一種であり、幾つかの部分に分かれる。左右の乳房を支え、補正するのが目的であるので、カップと呼ばれる、お椀の形の部分が、もっとも基本的な構成要素である。その他の構成要素は以下のようになる。
カップ : 上で述べた通り、バストを包み込む、お椀の形の部分。乳房に合わせて左右に1つずつで、2つのカップがある
ベルト : 基本的に、アンダーバスト部分を胸部を一周する形で囲む細い帯で、2つのカップを結び、更に背中まで回りカップが外れないように固定する役割を持つ。
ストラップ : 肩紐とも呼ばれる。通常、カップ部分の上端から伸びる、長さの調節できる紐で、肩を廻って背中でベルトと繋がっている。ブラジャーは、バストを下から支え、カップによって形を整えるようになっているので、ベルトでカップ部分が胸部に密着するようにする必要があると共に、ストラップで肩から支えカップを含めたブラジャー全体が、下にずれ落ちないようにする必要がある。そのためストラップで、肩よりブラジャーを吊している構造となっている。
ホック : 通常、背中側にある。背中側にホックのある場合、ベルトは背中の部分で繋がっておらず、ホックを止めることでベルトを結び合わせる。ブラジャーの装着は、ホックを止めることで一応終わる。背中側ではなく、左右のカップの間にホックがありベルトが背中の部分で繋がったフロントホックの製品もある。ホックを持たない製品もある。
これらの構成要素には様々なヴァリエーションがあり、ブラジャーの種類はそれに応じて、多様な種類のものがある。
種類
ブラジャーの種類は、基本的な種類と、派生的な種類に二分できるとも言える。基本的な種類、あるいはタイプは、女性の胸部の身体形状を示す2つの変数で決まってくる。アンダーバストとトップバストと呼ばれる数値が、この2つの変数である。
サイズのヴァリエーション
「アンダーバスト」は、女性の乳房の丁度下の部分で、バストの膨らみが消え、胸とほぼ同じ状態になる位置で、胸囲を測定した数値である。「トップバスト」は、乳房のもっとも高い2つの点(つまり、乳首)を通過して、胸囲と同様な測定法で、乳房を包んだ胸まわりを測定した数値を指す。トップバストとアンダーバストの差の数字を、「カップ・サイズ」とも言う。サイズは普通、A、B、C等の記号で示されるが、これらのサイズを決めるのは、実はトップとアンダーの差の数字としてのカップ・サイズである。
カップ・サイズは、Aから始まり、2.5cm刻みで、B、C、D、Eとアルファベット順に名称が与えられている。Aカップは、トップとアンダーの差が10cm の場合を標準に取っている。逆にAよりも小さなカップサイズは、-2.5cm刻みで、AA、AAAなどの名称が与えられている。
カップサイズ記号と、数字でのカップサイズの対応は次のようになっている。
AA(7.5cm)、AAA(5cm)……
A(10cm)、B(12.5cm)、C(15cm)、D(17.5cm)、E(20cm)、F(22.5cm)、G(25cm)、H(27.5cm)、I(30cm)……
以前の日本の女性は、体格に相応しバストサイズも小柄であったとされていたが、近年はバストの発達の進んだ女性も多く、Dカップ、Eカップも珍しいことではなくなってきた。だが、Gカップ以上のカップサイズとなると稀である。ちなみに日本で市販されているブラジャーはJカップ(ルイ・グラマラスで発売されている)までである。
ブラジャーの基本タイプは、このカップ記号(カップ・サイズ)と、アンダーバストの数字で決まる。
またアンダーバストのサイズは、オーダーメイドでない限り、普通に市販される既製品は、65cm、70cm、75cm、80cm のように、5cm刻みとなっている。しかし、実際にはアンダーバストの数字は個人差があるため、必ずしも70cm、75cm というような、ぴったりした数字ではない。
これはカップサイズでも同様であるが、カップサイズは2.5cm 刻みであり、また、A、B、C等のカップサイズ以外に、「カップ形状」というヴァリエーション要素があり、メーカーごとで、あるいは同じメーカーでも製品シリーズで違う「形状」になっているのが普通で、選択すれば、適合したカップを探すことはそれほど困難なことではない。
しかし、アンダーバストの場合は、5cm刻みに限られたものが市販されており、個人によって形状に差のあるバストに比べ、アンダーバストとは端的に「胸囲」であるからして、アンダーバストの数字はバストの形状等とは無関係である。アンダーバストの調節には、先に述べたブラジャーの要素である「ホック」部分が用いられる。ホックは1cm間隔ほどで、普通3列、または2列に並んでおり、ホックの固定位置を選ぶことで、ある程度の調節が可能となっている。
こうして、ブラジャーの基本的な種類とサイズは、カップサイズ記号に、アンダーバストの数字を付け加えることで表現される。
A65、B65、C65、D65、E65……
A70、B70、C70、D70、E70……
A75、B75、C75、D75、E75……
A80、B80、C80、D80、E80……
……
上記が標準的な日本国でのブラジャーのサイズの表記法であり、これらがブラジャーの基本的な種類、サイズに基づくヴァリエーションである。
なお、日本に輸入される事の多いアメリカ製の下着の場合、基準がインチ・フィート法となっているため、国内メーカーのブラジャーとはカップサイズが異なるので注意が必要である。更に日本のブラジャーは、欧米のそれに比べてカップ表記に対する大きさがやや小さめになっている。例えば日本サイズでCカップの場合は欧米サイズのBカップが適していることが多い。また日本では二つのカップサイズの中間であるときには乳房を潰さないように大きい方を選ぶが、欧米では逆にカップが乳房に少し食い込んだ着用感を好むため、更にもう1カップ下げる事もある。つまり日本でCカップの女性が、欧米サイズを選び、また着用感まで合わせると、Aカップを選択することもあり得る。
カップによるヴァリエーション
カップは構成要素として、もっとも複雑な部分で、それだけにヴァリエーションが多数ある。
乳房の形状
まず、もっとも複雑なのは、カップの立体形状である。これは、バストは単純な半球形ではなく、複雑で微妙な曲面で構成された立体であるということによるものである。またこの形状は個人によって差が大きく、サイズ表現では同じB75であっても、乳房の形がまったく異なるということは珍しいことではない。
半世紀前、あるいは30年ほど前であると、カップはかなり乱暴で大まかな半球の形に構成されていた。しかし、女性の乳房は、両脇の辺りから膨らみがあり上下対称ではなく、当然ながら、左右のバストの一方だけを見ても、左右対称ではない。このため、「立体裁断」という、多数の布を縫い合わせて、現実のバストの形状に近い形が実現できる手法をとるが、これでも個々人のバストの形状に完璧に対応できるわけではない。
サイズと形状
もう一つ、こちらは幾らか単純に見える形状の問題だが、アンダー70の人のCカップと、アンダー80の人のCカップが、同じ形である現状はいささかおかしいともいえる。
実際市販の既製品でも、カップ形状が異なっている(また、同じCカップなら、アンダー70の人のバストと、アンダー80の人のバストとでは、胸囲から見ても、身体の大きさから見ても、相対的に大きさが違って見える。また、実際にも形状が違っている)。
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カップのカバー面積
ここで言うカップのカバー面積は、基本的には3種類である。ブラジャーを構成するバスト部分の布地が、どの程度バストを覆っているかで3つのタイプに区分される。
フルカップブラ : カップがバスト全体をすっぽり覆うデザインで、安定感があり円錐形のバストを作るのに有効で、Cカップ以上のバストが大きな人向きとされている。
3/4カップブラ : フルカップブラのカップの上1/4をサイドからセンターに向かって斜めにカットしたデザインで、脇の肉を寄せ集めてバストにしてしまう効果があり、バストが離れていたりバストが薄い人向きとされている。
1/2カップブラ(ハーフカップブラ) : フルカップブラのカップの上半分を水平にカットしたデザインで、下がったバストを引き上げる効果があり、バストのふくらみがみえるため小さめの胸もふっくら演出することができる。
その他に、フルカップブラのカップの上3/4をカットしたデザインの1/4カップブラ(トップレスブラ)、オープンブラなどもあるが、これらはバストの大部分が露出するため、本来のバストを支え形状補正するというより装飾的な要素が大きい。
ワイヤーの有無
ブラジャーのカップ部分について、「ワイヤーの有無」を語る場合がある。ワイヤーは乳房を支え、理想的な形状に整えることが目的とされ、素材はおおむね金属製である。カップのお椀形になった半球の底面部分、つまりはおおよそ胸と乳房の境界を示すバージェス・ラインに沿って、ベルト芯のような感じでカップ素材の布の中に縫い込まれている。サイズが大きくなるほど、バージェスラインも緩やかに(半球の直径が大きく)なる傾向がある。ワイヤーの種類は大きく分けて3つある。
ノンワイヤー : ワイヤーをまったく使っていないもの。
ソフト・ワイヤー : ワイヤーが芯に入ってはいるが、かなり柔らかいもの。
ハード・ワイヤー : ワイヤーが芯として入っており、柔らかさがないもの。
ハード・ワイヤーのブラジャーは、バストの大きさや形状に合ったワイヤー形状である場合着用しても快適であり、乳房が安定しまた補正効果も良い。しかし形状が合わないと痛みを訴える場合がある。着用して跡がはっきり残ったり痛みがある場合、ハード・ワイヤーは避け、ソフト・ワイヤード・ブラジャーかノンワイヤーのブラジャーを選ぶことが望ましい。また、カップを1つ上げて(例:B→C)パッドで調整すると食い込まなくなる事がある。
また、多くのメーカーで、形状記憶合金をワイヤーの素材として使用したものがある。
形状記憶合金ハード・ワイヤー
その他
これら以外に、カップを構成する布地が一重のものと、中にパッドを入れることができるように、内側にポケットが作られたもの、ポリウレタンなどを使って、カップ自体に幾らかの厚みを持たせ、弾力性を与えているものや、1cmか2cm程度の厚さのポリウレタンなどの層、いわゆる作り付けのパッドが付いているものなどがある。またカップの表は、レースまたはレース状の飾り布で覆われているが、これらの布が直接肌に触れないよう、なめらかな裏布を当てて、縫い合わせているのが普通である。
生地が一重であるシンプルなもの
表のレース飾りと、裏の当て布を縫い合わせて二重になっているもの
内側にパッド用の袋が準備され、二重になっているもの
カップ自体にパッドが縫い込まれているもの
おおまかには、このような種類のブラジャーがある。